
著者による、バイラル・ループを活用し短期間で成長を遂げた起業家へのインタビュー集
マーク・ザッカーバーグがオンライン版卒業アルバムともいえるフェイスブックを開発し、ネット上で発表したのは、彼がまだ10代だった2004年2月のこと。公開からわずか数週間で事実上、ハーバード大学の全学生がそっくりフェイスブックにサインアップした。反響に気を良くした彼は、ルームメイトたちとともに、このSNSを他のアイビーリーグ校にも移植していった。その後のいきさつは、今や歴史になっている。今日もフェイスブックは大変な勢いで発展しており、世界中で数億人が利用している。
――どうしてプログラムを書くようになったの?
マーク・ザッカーバーグ(以下「ザッカーバーグ」) 初めてコンピュータを買ってもらったのは、小学6年生かそこらの頃だった。それからすぐに「どんな仕組みで動いているんだろう」、「プログラムはどんな働きをしているのか」と興味を持ち、自分でコードを書き始めるようになって、どんどんのめり込んでいったんだ。
――コンピュータをバラバラに分解してみたり?
ザッカーバーグ ハードウェアよりもむしろ、ソフトウェアの成り立ちを調べたよ。よくラジオを分解して組み立てなおしたり、とにかく分解してみたりしただなんて人の話を聞くよね。でも僕は、そんなことよりも、どうしてプログラムが働いているのかに、より興味をひかれたんだ。
――プログラミングは独学で?
ザッカーバーグ そう。マニュアルを買ったり、一人で試行錯誤したり、人を捕まえては質問攻めにしたりね。
――フェイスブックを開発したとき、ハーバードのキャンパス中に急激に広がっていくのを見て驚いた?
ザッカーバーグ そうだね。あんなに早く広まっていくとは思わなかったから。処理能力をどんどん拡張していくために、インフラを作り続けなければならなかった。
――フェイスブックを他のアイビーリーグ校にも持ち込んで、やっぱり驚異的な早さで広がっていったのを見て、驚いた?
ザッカーバーグ 当時、いくつかの発見があった。自分たちが切り開いた領域はとても普遍的なもので、どんなところにでも応用できると実感したこともそのひとつ。僕たち独自のやりかたがすごく効率が良いことには、驚かされたよ。だけど、自分たちが作り上げたソーシャル・メディアの影響力の巨大さには、まだぴんと来ていなかった。
ハーバードで発表すると、いくつかの学校から、うちでもやってくれないかと連絡を受けた。ハーバード以外で最初にフェイスブックを立ち上げたのは、イェール、スタンフォード、コロンビアの3校だった。彼らを選んだのは、いずれもが何らかのコミュニティ・ウェブサイトを持っていて、学生はほぼ全員それを使っていたからだよ。フェイスブックの効率性を確認したかったから、すでにコミュニティ・サイトがあっても鞍替えするものかどうか、試してみたんだ。
そしてこれら3校でも、立ち上げからわずか数週間で、それまでどんな交流サイトを使っていたにせよ、みんなフェイスブックに鞍替えしてくれた。だから、このやりかたに無限の可能性があると自信が持てたんだ。そこで、その学期中に他の25校にもフェイスブックを持ち込んだ。それらの学校には交流サイトがなかったから、急成長したよ。
――大反響に気が付いたのは、いつのことだった?
ザッカーバーグ かなり早い段階だったよ。各校で急激にユーザーが増えていく様子を、グラフにして壁に張り出したりしたっけ。学校の規模が大きいほど、屈曲点(急激に右肩上がりに転じる点)に達するまでに時間がかかった。コーネル大学のようなある程度の規模のある学校では、本当に火がつくまでには数週間はかかったね。でもそんな学校でこそ、本当に誰もがフェイスブックを使うようになった。
――フェイスブックの立ち上げ当初から、ネットワークのバイラル効果でどんどんユーザーが増えていくのだということに気が付いていた?
ザッカーバーグ そうだね。フェイスブックのようなものについてのネットワーク効果というのは、ごく直観的にわかると思う。基本的にユーザーにとっての価値は、みんなが共有している情報の量だと思う。
――いつ頃からプログラムを招待制に改良したの?
ザッカーバーグ それは、eメールソフトからアドレス帳を手軽にインポートできる機能のことだね。それを付け加えたのは06年後半のことだったよ。
――それからも成長ペースは変わらなかった?
ザッカーバーグ 当初僕たちが力を注いでいたのは、特定の大学の全生徒を取り込むことだった。今でも成長カーブは当時と良く似ていると思うよ。ただし違いは、個々の大学の代わりに個々の国を相手にしているということだけど。
カナダのようにインターネット・ユーザーの40%がフェイスブックに登録しているという国でも成長は続いているけれど、以前ほどうなぎ上りのペースではない。あまりにも多くのユーザーを抱えているからね。さらに、今ちょうど成長期に差し掛かった国がたくさんあり、だから多言語展開に取り組んでいる。だから、成長カーブについての質問は、より答えにくい複雑なものになっているね。2008年は、週に3%の成長率が、ほぼ1年間続いた。ユーザーベースの総計が毎日3%ずつ増えていったという意味ではなく、飽和市場とちょうど急成長し始めた市場を足して3%増えていったという意味だ。
――他のサイトでは拡張性(急増するユーザーに合わせて処理能力を増強していくこと)にすごく手を焼くのが常だけれど、どうしてフェイスブックではすんなりと拡張できたんだろう?
ザッカーバーグ 本当に重要な局面は、2~3くらいしかなかったと思う。その第一は立ち上げた当時だ。まだ会社を設立しておらず、お金もなかったから、対象校を増やしていくためのサーバーを買い入れる資金作りに広告を売った。それでもやがて処理量がいっぱいになることはわかっていたから、ユーザー全員が同時にログオンできないようにプログラムを書いた。そのおかげで、成長を自らずいぶん抑制したよ。でも、だからこそ成長を続けながら、システムをダウンさせずに済んだんだ。
――人々の相関関係に向けてマーケティングできるとなれば、どんな企業にとっても、ものすごく有利な武器になる。それについて説明してくれる?
ザッカーバーグ フェイスブックの基本的なアイディアは、人々の関わり合いをめぐる、ある現象だと思う。本当に大切なことは、誰かから何らかのメッセージを受け取ることよりも、それが誰からのメッセージだったかなんだ。本当に信頼している人物からのメッセージなら、注意して聞くだろう。一方、信頼していない相手からのメッセージなら、むしろ内容を裏読みするかもしれない。だって、信用していないんだからさ。それがこのサイトを利用する価値の根本だと思う。
誰かのプロフィールを見て、何かのブランドが好きだと知る。それは、そのブランドのただの広告看板を見るよりも意味があると思うんだ。僕たちは、金を稼ぎ、会社を存続させていくうえで、そしてこうした興味を一致させていくうえで、本当に有機的な方法を見出したんだ。